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霧のミラノ再考
暁の紫
  暁の紫。
  今年は全般的に淡い色の花が多かったので、
  こういう色やエゾギクの赤が新鮮。



柴田侑宏氏といえば、恋愛至上主義の色ボケ作品と見せかけてその実、骨太なテーマを内包した脚本を書く人だ。
観劇した直後は、「ロマンチックでいいわぁ」「素敵だったわね☆」とほのぼのボ〜ッとなるのだが、あとからジワジワとその重たいテーマが効いてくる。まるで七年殺しのような芝居をつくるのが得意な人。かなりの業師であり、なかなか油断ができない。
ところが私が宝塚のファンになった'98年頃には、すでに柴田氏の筆力にかつての勢いはなかった。
色ボケ作品が本当にただの色ボケになってしまっていたり、佳作といえるものには「柴田色」が薄れていたり。まぁ、これは演出家との相性にもよるのかも知れない。視力が落ちて、ご自分で演出できなくなって久しいらしいから。
過去作品のビデオを観ては、「う〜ん、昔はこんなにすごい作品を書いていたのになぁ」ともったいなく思っていた。
 (でもファン歴の長い知人に言わせると「昔から良い作品ばかりってわけでもなかったわよ」とのことだけど)

で、今回の雪組公演『霧のミラノ』。
これまた、ちょっと脚本演出的には「なんだかなぁ」というのが正直な感想で。演出を担当した中村暁氏との相性のせいなのか、トップコンビとの相性のせいなのか、あと一歩ですごくおもしろくなりそうなのに「もったいないなぁ」と思ったのだ。

だがしかし!
観劇してから4日過ぎた今日、なんだか突然感動してきました。いやホントに。これじゃまさしく七年殺し。いや四日殺しか。
なんだかいいなぁ。良かったなぁ。
う〜ん、なんで時が経ってこんなに印象が変わったんだろう?

初めて観た時は、あのラストは柴田作品らしいけどあまり説得力がないように感じたんだよね。
「立場が変われば」の歌詞にあるような、ロレンツォとカールハインツの心の交流がもっと描かれていれば、また違ったような気がしたんだけど。
カールハインツってフランチェスカに惹かれてたんでしょ? でもそれもあまり感じられないし…(ここけっこう重要だったよーな気がすんだけど)

でも観劇して数日経ってふりかえると、あのラストの余韻がまたよかったように思えるの。
ミラノのために命を捨てるつもりだったロレンツォが、フランチェスカという女性に出会って考えを変えて、必ずこの人のもとにもどろうと思った。それこそが『霧のミラノ』のいちばんのテーマであり、もういちど生きてフランチェスカに会えた時点でハッピーエンドであるとも言えるんだよね。

イタリア統一の陰にはこういう人々がきっとたくさんいて、他国の支配からの独立を夢見、生きて、笑って、泣いて、時には命を散らしていったんだろうな。
未だ争いの絶えない今の時代に生きる私たちに、真摯に生きることの意味をつきつけるような、やはり柴田作品の本質は骨太なのだ。
| 歌劇 | 19:38 | comments(0) | trackbacks(0) |









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